ノマドの足跡

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【肥薩線の旅】 吉松発、快速「しんぺい」

14時47分、「はやとの風」は終点、吉松駅に到着。
ここで向かいのホームの14時49分発、快速「しんぺい」に乗り換えます。




肥薩線、吉松〜人吉間を走る「しんぺい」号は、古代漆を思わせる、渋い丹色のボディー。
そこに、金文字のプレートが際だっています。
そして内装は、「はやとの風」とは対照的に、落ち着いたインテリア。
車両中央部には壁際にカウンターがつくられ、窓が大きくつくられています。
列車両側の先頭部分にはカメラがあり、進行方向前方あるいは後方の景色が車内のモニターに映し出されています。

ちなみにこの列車、同じ車両でも吉松〜人吉方面は、「しんぺい」、逆区間の人吉〜吉松が「いさぶろう」と名前が変わります。
「しんぺい」は、肥薩線開通当時の鉄道院総裁、後藤新平にちなんだもの。
対する、「いさぶろう」は、逓信大臣、山県伊三郎の名前にちなんだものです。


この「しんぺい」号が走る吉松〜人吉間は、いわば肥薩線のクライマックス。
霧島連山を望む山間の区間を走るこの路線には、ループ線とそれを挟んだ2つのスイッチバックがあります。
また区間中の最高点・矢岳駅の手前では、日本三大車窓の一つと称される景色が堪能でき、列車もそこで一時停止。車内にはアナウンスが流れます。
また、山神第二トンネルではかつて、急勾配のあまり途中で蒸気機関車が立ち往生し、煙に絶えられず脱出した乗客に向かって逆送してきた列車によって多くの犠牲者が出たという悲劇の場所。
そして、矢岳第一トンネルトンネルの両方の入り口には、後藤新平と山県伊三郎の筆による石額が掲げられています。
「引重到遠(いんじゅうちえん)」、「天険若夷(てんけんじゃくい)」。
山間この路線が当時いかに難工事を強いられたかを物語っています。

見所と物語のたくさん詰まった肥薩線・吉松〜人吉間に、「しんぺい」号が乗り出していきます。